サンドリア王国を抜け、メリアの村を経由し、スフィは池袋駅にいた。
「相変わらず人が多いところね」
四年前、スフィはここ池袋に訪れたことがあった。そのとき同じ村の出身である、ハガーという男が命を落とした。
とある男が電車内で携帯電話での通話をしていたのだが、その男は一駅だけ電車に乗っただけですぐに降りていった。ハガーもその電車に乗っており、その男に多少の怒りは感じたものの、なにも起きることはなく電車のドアは閉まろうとしていた。しかし、ドアの閉まる直前に俗にい言う「駆け込み乗車」というかたちでその男は戻ってきたのである。しかも未だに携帯電話での通話は続いており、小脇には今買ってきたであろう週刊誌を抱えていた。
スフィの目にも確認できない早さで、その男は細かく切り刻まれた。
ハガーの目からレーザービームが照射され、その男を一瞬にして肉片の塊に変えてしまったのだ。それと同時にハガーも意識を失い、二度と目を覚ますことはなかった。
スフィはそんなことを思い出しながら、誓った。二度と同じような過ちがあってはいけない。それが自分の村の伝統を守ることでもあるのだ。
自動改札までやってくると嫌な音が響いた。自動改札を通ることを阻まれる、あの音だ。前方では中年の男が両側から飛び出す遮蔽物に足を止められていた。
「おう、じゃーなぁ」
男は悪びれた様子もなく、改札の向こうの同僚に挨拶をした。
瞬間、スフィの左腕が鋭利な刃に変化する。
「こいつの顔面を削ぎ落としてやる」
スフィが左腕を下から突き上げようとしたとき、男の口から異臭がした。男は酒に酔っていた。スフィがそう認識すると、瞬く間に左腕の刃は姿を消し、代わりに右手の中に小さな光がぽっと現れた。男はにやにやしつつ改札を逆行し、スフィとすれ違う。スフィは右手を男の腹部に当てた。鈍い光を放つ玉がスフィの右手から男の体に入り込み、腹、胸、首と見る見る上昇してゆく。勢いよく男の頭部まで到達すると、ぼん、と男の首から上が弾け跳んだ。
はぁはぁと息を弾ませて、スフィはこの場から早く立ち去ろうと急いだ。
―ピンポーン―
スフィの腰の辺りで両サイドから小さなドアが通行を妨げた。
……SUICAにチャージするの忘れちゃった。
そう思うと同時に、スフィは絶命した。
「相変わらず人が多いところね」
四年前、スフィはここ池袋に訪れたことがあった。そのとき同じ村の出身である、ハガーという男が命を落とした。
とある男が電車内で携帯電話での通話をしていたのだが、その男は一駅だけ電車に乗っただけですぐに降りていった。ハガーもその電車に乗っており、その男に多少の怒りは感じたものの、なにも起きることはなく電車のドアは閉まろうとしていた。しかし、ドアの閉まる直前に俗にい言う「駆け込み乗車」というかたちでその男は戻ってきたのである。しかも未だに携帯電話での通話は続いており、小脇には今買ってきたであろう週刊誌を抱えていた。
スフィの目にも確認できない早さで、その男は細かく切り刻まれた。
ハガーの目からレーザービームが照射され、その男を一瞬にして肉片の塊に変えてしまったのだ。それと同時にハガーも意識を失い、二度と目を覚ますことはなかった。
スフィはそんなことを思い出しながら、誓った。二度と同じような過ちがあってはいけない。それが自分の村の伝統を守ることでもあるのだ。
自動改札までやってくると嫌な音が響いた。自動改札を通ることを阻まれる、あの音だ。前方では中年の男が両側から飛び出す遮蔽物に足を止められていた。
「おう、じゃーなぁ」
男は悪びれた様子もなく、改札の向こうの同僚に挨拶をした。
瞬間、スフィの左腕が鋭利な刃に変化する。
「こいつの顔面を削ぎ落としてやる」
スフィが左腕を下から突き上げようとしたとき、男の口から異臭がした。男は酒に酔っていた。スフィがそう認識すると、瞬く間に左腕の刃は姿を消し、代わりに右手の中に小さな光がぽっと現れた。男はにやにやしつつ改札を逆行し、スフィとすれ違う。スフィは右手を男の腹部に当てた。鈍い光を放つ玉がスフィの右手から男の体に入り込み、腹、胸、首と見る見る上昇してゆく。勢いよく男の頭部まで到達すると、ぼん、と男の首から上が弾け跳んだ。
はぁはぁと息を弾ませて、スフィはこの場から早く立ち去ろうと急いだ。
―ピンポーン―
スフィの腰の辺りで両サイドから小さなドアが通行を妨げた。
……SUICAにチャージするの忘れちゃった。
そう思うと同時に、スフィは絶命した。